アジアの民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート(以下、HOSPO)」を推進する北海道大樹町(北海道広尾郡大樹町、町長 黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(本社:北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長 兼CEO 小田切義憲、以下SPACE COTAN)は、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指す将来宇宙輸送システム株式会社(本社:東京都、代表取締役 畑田康二郎、以下将来宇宙輸送システム)が、HOSPOの滑走路にて同社初となる小型ロケットエンジンの燃焼試験(以下、本試験)を実施し、成功したことを、お知らせいたします。
将来宇宙輸送システムの小型ロケットエンジンは、水素、メタン、酸素の3種類の推進剤を使い分けて燃焼効率を向上させ、機体の軽量化を図っています。本試験も3種類の推進剤を使用したトリプロペラント方式で行われました。この方式での燃焼試験の成功は日本初となります。また、開発過程をデータ化する独自のプラットフォームを用いることで開発スピードの向上を目指しています。
大樹町とSPACE COTANは、世界の宇宙ビジネスを支えるインフラとしてロケット開発環境を提供し、国内における自立的な宇宙アクセスの維持・拡大や、国内外の宇宙産業の発展に貢献してまいります。
《試験概要》
名称 :トリプロペラント方式による小型ロケットエンジン燃焼試験
目的 :トリプロペラント方式の燃焼確認、開発基盤「開発プラットフォーム」の有効性確認
推進剤 :水素、メタン、酸素
期間 :2023年12月19日〜20日
場所 :北海道スペースポート 滑走路
燃焼時間:10秒
本試験に関する詳細な情報は、将来宇宙輸送システムのプレスリリースをご参照ください。
https://innovative-space-carrier.co.jp/articles/20231225/
《背景》政府支援により民間のロケット開発が加速。民間が使える宇宙港の必要性が高まる
世界の宇宙市場は、小型人工衛星を活用した民間宇宙ビジネスなどが拡大し、2040年には現在の3倍近い110兆円を超える巨大市場に成長すると予測されています。小型人工衛星の打上げ需要とともに、ロケット等の宇宙輸送サービスの需要も高まっていますが、宇宙輸送サービスが不足しており、業界のボトルネックとなっています。国内では、基幹ロケットの打上げ回数が少なく、民間の商業衛星の打上げは海外ロケットに依存している現状です。
こうした中、2023年6月に閣議決定された宇宙基本計画(*1)では、他国に依存しない宇宙へのアクセス確保・自立的な宇宙活動の実現がうたわれました。その具体策として、文部科学省による民間スタートアップの支援制度「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金)(*2)」により、宇宙輸送分野に5カ年・350億円が配分され、1社最大140億円が交付されることとなり、政府による民間ロケットの開発・実用化を支援する動きが加速しています。
将来宇宙輸送システムはSBIRフェーズ3基金で採択されています。また、同様に採択されたインターステラテクノロジズ、SPACE WALKERは、HOSPOでの打上げを計画しています。
民間が利用できるロケット発射場や実験場の必要性が高まる中、HOSPOは民間に開かれた商業宇宙港として、様々なロケット事業者にロケット開発環境を提供してまいります。
*1:内閣府 宇宙基本計画、宇宙基本計画工程表(令和5年6月13日改訂) https://www8.cao.go.jp/space/plan/keikaku.html
*2:文部科学省 中小企業イノベーション創出推進事業 SBIRフェーズ3基金https://www.mext.go.jp/mext_02308.html
▼プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000078016.html