パラシュート2段階放出機構を実証、開傘時の衝撃データを取得
民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート(以下、HOSPO)」を運営・事業推進する北海道大樹町(北海道広尾郡大樹町、町長 黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(本社:北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長兼CEO 小田切義憲 以下、SPACE COTAN)は、東海大学の学生ロケットプロジェクトが2024年3月6日、大樹町にてハイブリッドロケットの打上げ実験を実施し、成功したことをお知らせいたします。
本試験では、打上げた機体を損傷なく回収するためのパラシュート2段階放出機構を実証し、パラシュート開傘時の機体への衝撃(オープニングショック)に関するデータを取得しました。
今後、試験結果を基に最終目標の高度100㎞以上の宇宙到達に向けて開発を進めます。
東海大学は、2004年から大樹町で実験を行っており、今回で29機目のロケット打上げとなりました。
大樹町とSPACE COTANは、今後も大学や民間企業の実験受け入れを通じ、航空宇宙分野の研究開発や産業の発展、人材育成に貢献してまいります。
《実験概要》
試験日 :2024年3月6日
試験場所:北海道広尾郡大樹町美成
試験目的:パラシュート2段階放出機構の実証、オープニングショックのデータ取得
試験結果:2.4秒エンジンを燃焼し、機体は高度456mに到達。パラシュートの2段階放出に成功し、射点から北北東493mに落下しました。機体も回収し、オープニングショックのデータも取得した。
《ロケット 概要》
名称 :ハイブリッドロケット59号機
機体 :GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)チューブを主体としたモジュール構造。独自開発のパラシュート放出機構「不知火Ⅲ」、「不知火Ⅳ」、「盃」を搭載
エンジン:固体のWax燃料(ロウ)。酸化剤は液化亜酸化窒素
全長 :1.7m
直径 :154mm
重量 :14kg
民間から大学、政府等の航空宇宙実験を支える北海道スペースポート
大樹町内ではHOSPOの1,000m滑走路やロケット発射場などを使った航空宇宙関連の実験が多数行われています。2023年度はインターステラテクノロジズ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、将来宇宙輸送システム、電気通信大学、室蘭工業大学などによるロケットエンジンの燃焼試験や大気球、無人航空機の実験など延べ40件が行われました。
2024年度にはHOSPO滑走路の1,300mへの延伸工事が完了し、これまで以上に幅広い実験の受け入れが可能になります。民間が利用可能な人工衛星用ロケット発射場Launch-Complex-1(LC-1)の建設工事も並行して進めており、ロケット打上げを含む様々な航空宇宙実験のための環境整備を進めてまいります。
《団体・会社概要》
東海大学学生ロケットプロジェクト
教員責任者:工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻 准教授 中篠 恭一(なかしの きょういち)
学生責任者:工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻 2年 谷田貝 萌絵(やたがい もえ)
所在地 :神奈川県平塚市北金目4-1-1
団体概要 :宇宙技術者を目指す学生が実践的な知識や技術を得ることを目的としたプロジェクトで、1995年に発足しました。例年、秋田県の能代宇宙イベントと大樹町で1回ずつ、年2回の打上げを実施しています。大樹町では2004年から実験を行っており、今回で29機目の打上げとなりました。能代宇宙イベントを含めた打上げ総数は52機となります。
WEB :http://deka.challe.u-tokai.ac.jp/srp/About_TSRP/About_TSRP.html
北海道大樹町
代表 :町長 黒川 豊(くろかわ ゆたか)
所在地 :北海道広尾郡大樹町東本通33番地
事業概要 :人口5,400人の一次産業が基幹産業の町。昭和59年の北海道大規模航空宇宙産業基地構想で航空宇宙基地の適地とされ、以降40年近くにわたり宇宙のまちづくりを推進し、HOSPOを本格稼働。北海道スペースポートを核とした宇宙版シリコンバレーの形成を目指します。
WEB :https://www.town.taiki.hokkaido.jp/
SPACE COTAN株式会社
代表者 :代表取締役社長兼CEO 小田切 義憲(おだぎり よしのり)
所在地 :北海道広尾郡大樹町西本通98
事業概要 :大樹町からの委任に基づくHOSPOプロジェクトの推進業務全般(スペースポートの管理運営、整備資金調達支援、射場設計、国の認定取得、国内外顧客開拓、PR活動等)を実施しています。WEB :https://hokkaidospaceport.com/
北海道スペースポート(HOSPO)とは
HOSPOは、2021年4月に大樹町で本格稼働した民間にひらかれた商業宇宙港です。大樹町はロケットを打上げる東と南方向に海が広がり、広大な土地によるロケット発射場の拡張性の高さ等の地理的優位性があることから、世界トップクラスの宇宙港の適地と言われ、約40年前から航空宇宙産業の誘致を進めてきました。
「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョン実現に向けて、ロケットやスペースプレーンの発射場・実験場を整え、世界の宇宙ビジネスを支えるインフラとして、ロケット開発や宇宙産業の発展に貢献します。また、宇宙産業を核とした地方創生、ビジネス創出を目指します。
現在、人工衛星用ロケット発射場LC-1と滑走路延伸工事を進めており、整備資金の一部は企業版ふるさと納税制度を活用しています。地域特性を活かした地方創生の取り組みで人口減少に歯止めがかかっていることなどが評価され、大樹町は2022年度の企業版ふるさと納税制度の内閣府特命大臣表彰を受けました。