民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を運営する北海道大樹町(町長:黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(本社:北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長兼CEO:小田切義憲)は、ワコオ工業株式会社(本社:札幌市、代表取締役:和田一仁)より、HOSPOプロジェクトの資金として1,000万円の企業版ふるさと納税の寄附をいただいたことをお知らせいたします。
宇宙のまちづくりを推進する大樹町は、北海道スペースポートの施設を拡充するハード整備(航空公園機能拡充事業)と、宇宙関連企業のサポートや航空宇宙関連の普及啓発などのソフト支援(航空宇宙関連ビジネス推進事業)を2本柱に企業版ふるさと納税を募集しており、今回はハード整備に対して1,000万円の寄附をいただきました。
《ワコオ工業株式会社 会社概要》
私たちがメンテナンスを行っているバルブは、電力やガスなどのライフラインから宇宙産業までありとあらゆる場所で使われ、私たちの暮らしと産業を見えないところで支えています。弊社は創業以来、多種多様なバルブに対応できる知見と技術力を有し、北海道のみならず日本全国、海外で技術者が活躍しています。「社会インフラを支える」私たちはこの使命を遂行し続け、人々が安心して暮らせる豊かな社会を守っていきます。
代表者 :代表取締役 和田 一仁
所在地 :札幌市白石区中央3条2丁目1-50
事業概要:産業用バルブ・ポンプメンテナンス及び販売、大型機械加工
WEB :http://www.waquo.co.jp/
《代表者コメント ワコオ工業株式会社 代表取締役 和田 一仁》
わが社は1970年(昭和45年)の創業以来、北海道の地で成長させて頂きました。以来55年、今ではバルブメンテナンス・ポンプメンテナンスの分野では全国の様々な分野のお客さまから高い評価を得て、また世界へも展開しています。これもわが郷土北海道の地があればこそと感謝しています。わずかながらの恩返しとして、また、これから発展していく大樹町の宇宙産業の一助になればと、ふるさと納税をさせていただきます。
自立的な宇宙活動実現へ政府による宇宙輸送支援が加速、官民の打上げが活発化
民間宇宙ビジネスの拡大により、世界の宇宙市場は2040年に現在の3倍近い110兆円を超える巨大市場に成長すると予測されています。人工衛星を運ぶロケットの需要も高まっていますが、国内では打上げの機会が少なく、商業衛星の打上げは海外のロケットに依存しています。
2023年6月に閣議決定された宇宙基本計画では、他国に依存しない宇宙へのアクセス確保・自立的な宇宙活動の実現が示されました。その具体策として、文部科学省によるスタートアップ支援制度「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金)」で、民間ロケットの開発・実証に5カ年・350億円が配分されることとなりました。
さらに、企業や大学の技術開発や商業化を支援する総額1兆円の宇宙戦略基金が創設され、射場に関連する地上系システムの基盤技術開発についても支援対象となりました。政府は、国内でのロケット打上げ能力を、2030年代前半までに年間30件程度確保することをKPI(重要業績評価指標)に設定しており、宇宙輸送分野への支援を加速させています。
国内のロケット開発や打上げも活発化しており、JAXAのH3ロケットは今年2月に2号機、7月に3号機の打上げが成功しました。また、3月にはスペースワン株式会社による小型ロケット「カイロス」の打上げも行われました。この他にも複数の国内民間企業がロケット開発を進めています。
国内唯一の民間にひらかれた”複合型”宇宙港で、アジアの宇宙ビジネスの中核拠点化を目指す
HOSPOは垂直・水平型の多様な打上げに対応した国内唯一の「複合型」宇宙港です。航空宇宙産業のインフラとして、ロケットやスペースプレーンの射場・実験場を整備し、国内外の企業や大学等の打上げ・実験を支援しています。これまでに政府・企業・大学等による実験が年間40件程度行われ、民間の観測ロケットが宇宙空間に到達しています。
2022年から、人工衛星の打上げに対応した新たな射場Launch Complex-1(LC-1)の建設と滑走路延伸工事を実施しています。財源の一部は企業版ふるさと納税を充てており、多くの皆様のご支援により寄附総額は当初の目標に迫る11億円となりましたが、昨今の資材価格高騰で総事業費が膨らんだことから、継続して寄附を募っています。
滑走路延伸工事は今年6月に完了し、スペースプレーンや空飛ぶクルマ、ドローンなどの次世代エアモビリティの実験等で利用される見込みです。LC-1完成後はインターステラテクノロジズなどによるロケット打上げが予定されています。
HOSPOはアジアにおける宇宙ビジネスのハブを目指し、国内外の事業者による高頻度で多様な打上げに対応するため、新たな射場Launch Complex-2(LC-2)やP2P輸送(高速2地点間輸送)用の3,000m滑走路整備も計画しています。
企業版ふるさと納税制度
地方公共団体の地方創生事業に寄附した企業の法人関係税を税額控除する制度です。寄附額のうち、最大約9割に相当する法人関係税が軽減されます。
制度がスタートした平成28年度から令和5年度までの累計で、全国の約9割に当たる1,536の地方公共団体が企業版ふるさと納税を活用しています。
北海道大樹町 概要
代表者 :町長 黒川 豊(くろかわ ゆたか)
所在地 :北海道広尾郡大樹町東本通33番地
事業概要:人口5,300人の一次産業が基幹産業の町。昭和59年の北海道大規模航空宇宙産業基地構想で航空宇宙基地の適地とされ、以降 40年近くにわたり宇宙のまちづくりを推進し、HOSPOを本格稼働。北海道スペースポートを核とした宇宙版シリコンバレーの形成を目指します。
WEB :https://www.town.taiki.hokkaido.jp/
SPACE COTAN株式会社 概要
代表者 :代表取締役社長兼CEO 小田切 義憲(おだぎり よしのり)
所在地 :北海道広尾郡大樹町西本通98
事業概要:大樹町からの委任に基づくHOSPOプロジェクトの推進業務全般(スペースポートの管理運営、整備資金調達支援、射場設計、国の認定取得、国内外顧客開拓、PR活動等)を実施しています。
WEB :https://hokkaidospaceport.com/
北海道スペースポート(HOSPO)とは
HOSPOは、2021年4月に大樹町で本格稼働した民間にひらかれた商業宇宙港です。大樹町はロケットを打上げる東と南方向に海が広がり、広大な土地によるロケット射場の拡張性の高さ等の地理的優位性があることから、世界トップクラスの宇宙港の適地と言われ、約40年前から航空宇宙産業の誘致を進めてきました。
「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョンに向けて、射場や実験場を整え、世界の宇宙ビジネスを支えるインフラとして、航空宇宙産業の発展に貢献します。また、航空宇宙産業による地方創生やビジネス創出を推進します。
現在、人工衛星の打上げに対応した新たな射場Launch Complex-1(LC-1)の整備工事を進めており、整備資金の一部は企業版ふるさと納税制度を活用しています。地域特性を活かした地方創生の取り組みで人口減少に歯止めがかかっていることなどが評価され、大樹町は2022年度の企業版ふるさと納税制度の内閣府特命大臣表彰を受けました。また、大樹町とSPACE COTANは、2024年10月に世界5大陸の8商業宇宙港で国際協力に関する覚書(MOU)を締結しました。打上げ需要の拡大に応えるため、参加宇宙港とともに国際標準化による相互運用性の確保や運用コスト削減に向けた合理化などを検討し、打上げの高頻度化やロケット・人工衛星事業者の利便性向上を図ります。