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22

Jul

2025

【報告】サブオービタルロケットVP01打上げ時の安全監理に対する確認結果

  • PRESS RELEASE

北海道大樹町(町長:黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(本社:北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長兼CEO:小田切義憲)は、7月12日(土)に北海道スペースポート(HOSPO)で実施したjtSPACE株式会社(本社:北海道石狩市、代表取締役社長兼CEO:劉永裕)の2段式サブオービタルロケット「VP01」の打上げについて、打上げ時の安全監理に対する確認結果をご報告いたします。

打上げにおける役割分担

今回の打上げは、以下の役割分担で実施しました。
jtSPACE:
 ① 打上げの実施
 ② 打上げ時の安全監理(陸海空の安全確保)
 ③ ②にかかる安全対策の実施結果の報告(報告書の提出)
大樹町・SPACE COTAN:
 ④ 関係機関・地域との調整
 ⑤ 安全審査(※1)
 ⑥ 打上げ結果の確認(※2)

※1:安全審査
 一般社団法人日本航空宇宙工業会の弾道ロケット打上げ安全実施ガイドラインおよび大樹町における弾道ロケット打上げ安全実施 ローカルガイドラインに従って制定した「HOSPO安全管理方針」および「HOSPO安全基準(サブオービタル)」に基づき、安全対策の妥当性を審査すること

※2:打上げ結果の確認
 安全審査において承認された内容に従って運用されていたかを確認すること

大樹町・SPACE COTANによる確認結果

jtSPACEから提出された打上げ実験結果の報告書について、主に以下の2点を確認し、VP01の打上げは安全に実施されていたことを確認しました。

  • ②の打上げ時の安全監理について、安全審査において承認された判断基準および手順に従って実施されたこと
  • 打上げ後に異常が発生したため、安全審査において承認された判断条件および手順に従いFTS(※3)を作動させた結果、第1段ロケット(M1)および第2段ロケット(M2)は事前に設定した警戒範囲内に落下したこと(下図を参照)

※3:FTS
 Flight Termination Systemの略。周囲の安全を確保するため、ロケットが異常により予定した経路を外れた場合に飛行を中止する仕組み

詳細は、別添のjtSPACEの報告書「VP01打上げ実験結果」をご参照ください。

警戒区域および第1段ロケット、第2段ロケットの落下位置(jtSPACEの報告書より)
ロケットの概要
  • 名称:2段式サブオービタルロケット「VP01」
  • 全長:12m
  • 直径:0.6m
  • 重量:1.4t
  • エンジン:固体燃料の合成ゴム、酸化剤の亜酸化窒素(N2O)によるハイブリッド方式
  • 推力:第一段6,500 kgf、第二段1,100 kgf
  • 予測最高高度:約100km
HOSPOから打上げられたVP01
jtSPACE株式会社 概要
  • 代表者:代表取締役社長兼CEO 劉 永裕(リュウ ヨンユイ)
  • 所在地:〒061-3244 北海道石狩市新港南3丁目700番8号
  • 事業概要:独自のハイブリッドロケット推進システム技術を用いて、ロケットの開発から製造、そして打上げサービスに至るまで、一貫した宇宙輸送ソリューションを提供しています。
  • ウェブサイト:https://www.jtspace.co.jp/
北海道大樹町 概要
  • 代表者:町長 黒川 豊(くろかわ ゆたか)
  • 所在地:北海道広尾郡大樹町東本通33番地
  • 町の概要:人口5,300人の一次産業が中心の町です。1984年の北海道大規模航空宇宙産業基地構想で航空宇宙基地の適地とされ、以降約40年にわたり宇宙のまちづくりを推進しています。2022年度に小型人工衛星打上げ用のロケット射場「Launch Complex 1(LC1)」の建設に着手し、北海道スペースポートを核とした宇宙版シリコンバレーの形成を目指しています。
  • ウェブサイト: https://www.town.taiki.hokkaido.jp/
SPACE COTAN株式会社 概要
  • 代表者:代表取締役社長兼CEO 小田切 義憲(おだぎり よしのり)
  • 所在地:北海道広尾郡大樹町西本通98
  • 事業概要:大樹町からの委任に基づくHOSPOプロジェクトの推進業務全般。スペースポートの管理・運営、整備資金調達支援、射場設計、国の認定取得、国内外顧客開拓、ロケット打上げ支援、PR活動など
  • ウェブサイト:https://hokkaidospaceport.com/
北海道スペースポート(HOSPO)とは

HOSPOは、2021年4月に大樹町で本格稼働した民間にひらかれた商業宇宙港です。大樹町はロケットを打上げる東と南方向に海が広がり、広大な土地による射場の拡張性の高さ等の地理的優位性があることから、世界トップクラスの宇宙港の適地として、40年前から航空宇宙産業の誘致を進めてきました。
「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョンに向けて、射場や実験場を整え、世界の宇宙ビジネスを支えるインフラとして、航空宇宙産業の発展に貢献します。また、航空宇宙産業による地方創生やビジネス創出を推進します。
現在、人工衛星の打上げに対応した新たな射場Launch Complex 1(LC1)の整備を進めており、整備資金の一部は企業版ふるさと納税制度を活用しています。地域性を活かした地方創生の取り組みで人口減少に歯止めがかかっていることなどが評価され、大樹町は2022年度の内閣府特命大臣表彰を受けました。
また、大樹町とSPACE COTANは、2024年10月に世界5大陸の8商業宇宙港で国際協力に関する覚書(MOU)を締結し、打上げ需要の拡大に応えるため、参加宇宙港とともに射場の国際標準化による相互運用性の確保や運用コスト削減に向けた合理化などの検討を開始しました。
さらに、2025年1月には国の宇宙戦略基金に採択され、ロケットの打上げ高頻度化を目指した射場基盤技術の研究・開発を進めています。

北海道スペースポートの将来イメージ